「犬のコラム」について

毎日犬と共に生活していると、色々なことを犬から教わります。長い時間を犬と接していても新しい発見の連続で、生き物の奥深さと犬本来の魅力を再確認する毎日です。そんな犬との生活の中で気付いたことや感じたことをコラムとして書いています。

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犬のリンパ腫に骨髄移植<2>


前回、リンパについてと風邪をひくこととはどんなことなのか、ということを簡単にお話ししました。今回は「リンパ腫」について、そして骨髄移植についてお話します。

「腫」とは「腫瘍(しゅよう)」のことです。細胞が変質した塊のことですが、大きく分けて、良性と悪性があります。良性の場合はそのままでも心配はありませんが、他の器官や働きに影響がある場合や腫瘍が大きい場合は切除します。悪性の場合は「癌」と呼ばれていて、放置すると命をおとす危険があります。

リンパ腫は「血液の癌」と呼ばれていて、犬の場合、残念ながら悪性の腫瘍しかありません。(ごくごく稀に良性があるようです)

リンパ節などの組織や器官が癌化し、腫瘍になる場合と、リンパ球自体が癌化する場合があります。特にリンパ球自体が腫瘍になると、様々な病気を引き起こすことになります。リンパ球は免疫に関係しているからです。

今日の一般的な治療法は抗癌剤による化学療法ですが、犬への副作用も少なく、最も確立した治療方法です。しかし、リンパ腫の場合は完治することがなく、再発するという厄介さがあります。これは、リンパ腫自体に、抗癌剤に対する耐性があるからです。そこで研究されてきた治療方法が骨髄移植なのです。

骨髄とは、血液を造る工場のことで、骨の中に存在する組織です。リンパ球などの白血球はもちろん、赤血球などの血液成分が造られています。

骨髄移植とは、骨髄の液体(髄液)を血液中に投与することです。簡単そうですが、血液には様々なタイプがあるように、他個体の骨髄を移植することは非常に困難です。そのために、かつての人間の骨髄移植では自身の骨髄を投与する治療法が行われていました。

犬の骨髄移植の場合においても、その犬の骨髄を取り出してから増殖させて体内に戻す・・・という手間のかかる作業が必要なのです。また、様々な検査をパスし、術前の措置を完了させる必要があるなど、課題が沢山あったのです。

犬には人間のような骨髄バンクもありませんので、犬に骨髄移植を施すには莫大な時間がかかるとも言われていました。これら全てをクリアーして手術に成功したアメリカの技術は全世界から非常に高い評価を得ています。


犬のリンパ腫に骨髄移植<1>


リンパ腫の犬の治療において、骨髄移植が施されたことが以前アメリカのロイターによって全世界に報道されました。金額は146万円。これが高いのか安いのかは意見が分かれることですが、医学的な癌治療においては、決して高くはない金額です。

そもそもリンパ腫とはどのような病気でしょうか。今回は「リンパ」について簡単な説明と風邪をひく仕組みについてお話します。

「リンパ」はよく耳にする言葉ですが、体の中で何なのか、良く理解されていません。風邪をひいた際、リンパが腫れたり痛むことがあります。この場合のリンパとは「リンパ節」を指している場合がほとんどです。

体には血液が流れていますが、血液は血管の中を流れています。血管には何箇所か「節」と呼ばれるちょっとした血液の溜まり場があり、その場所を「リンパ節」と呼んでいます。

また血液には様々な成分(細胞)が含まれていますが、その一つに白血球があります。この白血球の一つに「リンパ球」という細胞があり、リンパ節に多く存在しています。(白血球とは赤血球のような具体的なものではなく、様々な細胞群をまとめて言う総称です。)

リンパ球の働き・役割は免疫に関係していて、体内に侵入した病原菌などを退治してくれます。従って、リンパ節は病原菌などが体内に分散することを食い止めるためのいわば関所のような存在です。

風邪をひいた際に、リンパ節が腫れるのは、病原菌と闘ったリンパ球の残骸が大量に溜まるからです。ノドの扁桃腺が腫れるのも、このためです。また風邪をひくと、熱が出ます。温度が上がると、細胞などの働きは活発になり、病原菌との闘いに有利になるからです。

一般的に化学反応は、温度が高いほうが活発で、洗濯物はお湯で洗ったほうが汚れが良くおちるのはこのためです。

さらに、病原菌は熱に弱い性質があり、高温になると性質が変ってしまいます。そのために、体内の温度を少しだけ上昇させて病原菌の増殖を食い止める働きが体にはあるのです。このような一連の流れを我々は「風邪をひいた~」と言っています。

体を病原菌から守るための働きは単純ではなく、あらゆる手段を用いています。そんな手段の一つとして存在しているものが「リンパ」であり「リンパ球」です。