前回、リンパについてと風邪をひくこととはどんなことなのか、ということを簡単にお話ししました。今回は「リンパ腫」について、そして骨髄移植についてお話します。
「腫」とは「腫瘍(しゅよう)」のことです。細胞が変質した塊のことですが、大きく分けて、良性と悪性があります。良性の場合はそのままでも心配はありませんが、他の器官や働きに影響がある場合や腫瘍が大きい場合は切除します。悪性の場合は「癌」と呼ばれていて、放置すると命をおとす危険があります。
リンパ腫は「血液の癌」と呼ばれていて、犬の場合、残念ながら悪性の腫瘍しかありません。(ごくごく稀に良性があるようです)
リンパ節などの組織や器官が癌化し、腫瘍になる場合と、リンパ球自体が癌化する場合があります。特にリンパ球自体が腫瘍になると、様々な病気を引き起こすことになります。リンパ球は免疫に関係しているからです。
今日の一般的な治療法は抗癌剤による化学療法ですが、犬への副作用も少なく、最も確立した治療方法です。しかし、リンパ腫の場合は完治することがなく、再発するという厄介さがあります。これは、リンパ腫自体に、抗癌剤に対する耐性があるからです。そこで研究されてきた治療方法が骨髄移植なのです。
骨髄とは、血液を造る工場のことで、骨の中に存在する組織です。リンパ球などの白血球はもちろん、赤血球などの血液成分が造られています。
骨髄移植とは、骨髄の液体(髄液)を血液中に投与することです。簡単そうですが、血液には様々なタイプがあるように、他個体の骨髄を移植することは非常に困難です。そのために、かつての人間の骨髄移植では自身の骨髄を投与する治療法が行われていました。
犬の骨髄移植の場合においても、その犬の骨髄を取り出してから増殖させて体内に戻す・・・という手間のかかる作業が必要なのです。また、様々な検査をパスし、術前の措置を完了させる必要があるなど、課題が沢山あったのです。
犬には人間のような骨髄バンクもありませんので、犬に骨髄移植を施すには莫大な時間がかかるとも言われていました。これら全てをクリアーして手術に成功したアメリカの技術は全世界から非常に高い評価を得ています。